細切れの刺し身 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ - 11月 20, 2025 細切れのトラウトサーモンの刺し身が夕方3割引で売っていた。わさびを醤油に多めに入れた。細切れだとサーモンの味がどうせぼやけているしと思ったからである。しかし、もはやわさび醤油の味になってしまった。結局、細切れは多めに入っていたのに満足感は少なかった。枚数が少なくてもちゃんとした肉厚の切り身で食べるべきであった。夕方のスーパーはものが安く売っていてワクワクするが、安さに釣られて失敗することも多い。気をつけねば。 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ
解体 - 11月 15, 2025 秋葉原のとある店でキカイをバラしてもらった。 親父さんは工具箱の中のあらゆる工具をとっかえひっかえ、時折手袋さえ変えながらキカイの細かいパーツを解体していく。大きなスピーカーの土台を外すと細かい歯車が現れ、それも外すとまた大きなバッテリーがでてくる。外されたケーブルは太さが違うパスタみたいにくるくるとテーブルの上に盛り上がってくる。部品が積み重なるにつれてオイルの少しココナッツにも似た匂いが漂ってくる。細かいパーツが作業台から落ちる。だが親父さんは手を止めない。パーツと工具を行き来する手ににじむ汗が蛍光灯に照らされ光って見える。キカイは既に文字通り原型を留めないほど小さい姿である。四角い箱状のものが四箇所ネジで筐体に固定されている。筐体は既に周りのケーブルなど抜き取られていてツルツルしている。親父さんは鼻息荒らげにネジを外す。筐体から四角い箱が抜き取られる。箱には蓋がついていた。蓋を開けた。親父さんはニマアと笑った。 続きを読む
手紙 - 11月 15, 2025 そよ風がレースのカーテンを揺らす。窓の外には絶景が広がっている。 白い砂浜に青い海、その上にまた青い空。 カモメが太陽を背に受けて海に影を落としている。 赤や黄のパラソルがまばらに砂浜に刺さっている。だが人はいない。この世界には人はいない。観察者である僕自身もそこにはいないのである。 僕は東京、目黒のあるマンションにいる。 部屋の電気はついてない。薄暗い部屋。東京特有の曇り空からわずかに差す日光が僕の部屋にまで届いている。 あの日あの人からの手紙を読んだ。抑揚のない文章、しかし、ときどきわざとらしい強い言葉が使われていた。なんだかこの部屋の外の室外機の音のようだった。 そのあと僕は抗鬱薬を飲んだ。それから3日間僕はベッドから動けていない。 そういえば、手紙はザラザラとした感触だった。もしかするとあの手紙には麻薬のようなものが付着していて、それを触った手で抗鬱薬を飲んで……こうなってしまったのだろうか。 海が見える。誰もいない海。そういえば手紙の消印がなぜか8月だった。 続きを読む
芋虫 - 1月 07, 2026 トムはアメリカ人だった。 今はアゲハチョウの芋虫だ。 自分より大きな葉の上で葉を喰んでいる。 トムは肉が好きでサラダがこの世の食べ物で一番嫌いだった。 タイヤを食った方がマシだと思っていた。 そして、芋虫になった今もとても不味い!それは変わらない。 地獄にいるようである。 だが、地獄を超越するくらい食欲が湧いてくる。 涙は出ないが泣きながら葉を喰む。 食欲が憎い。 続きを読む