旅の思い出
人はそれぞれの目的を持って、思索する暇もなく行き交う。 決して都会ではないのだが、人々はどこかせわしなかった。 水牛が純粋な目を正面に向けながら荷物を背負い商人に率いられて行く。 木枯らしが枯れた柳の葉を道に撒き散らす。 柳がまだ緑だった頃、私はこの辺りで美味しいと有名な茶庵で茶をいただいた。 座って茶を待っていると、壁の丸い窓からまだ少し幼い少女が洗濯物を腕に抱えて鼻歌交じりに歩いているのが見えた。 少女は私の目線に気づき少しはにかんで中国語で何か呟いた。 その数秒後にお茶が運ばれてきた。 雀が鳴く声がした。