神
全知全能の神がいた。
原始の時代から現代に至るまでの古今東西至るところに住む全ての人間の名前、生年月日、死亡年月日を記憶していた。やろうと思えば全ての人間の人生に追憶することもできた。それもほんの一秒足らずにおいてである。然るに太古より人類が培ってきた知恵を余すところなく無限に膨らむ風船のように蓄えていたのである。
だが神は自殺した。神は人間の人生、知恵を吸収する内にその残虐性にまざまざと触れたのである。このちっぽけな蛋白質の塊は個においてでも相当な悪党だ。集団であるなら尚更だ。この世において神などは全くの無力なのだ。
神が天界より飛び降り地上にぶつかった瞬間彼の肉体は凄まじい光の玉に変貌し、玉はドーム型に膨れ、加速度的に光の波が世界を駆け巡った。光を浴びた人類は知恵が与えられ、その知恵を使って科学戦争をし、滅んだ。