鯖
朝、鯖を食べた。 骨が口に入って、指でつまんで取った。 そのときについた匂いが、夕方になった今も指から消えない。 生臭い。 スタバに入ろうかと思ったけれど、自分の指先から漂う匂いに気づいて、萎えてやめた。 今日の夕飯はスーパーで買って帰る。 魚以外で。 鮮魚コーナーは素通りしよう。 そう思っていたのに。 「お買い得ですよ〜」 店員の声につられて目をやると、値引きシールが貼られた魚が並んでいた。 その中に、この時間帯では珍しく半額シールの貼られたものがあった。 骨無し鯖。 128円。 安い。 「骨無し……」 思わず足が止まる。 これなら、指で骨をつままなくて済む。 ……いや。 いやいや。 私は今日、魚を食べたくなかったはずだ。 生臭いし。 一日に何回鯖を食べるつもりなんだ。 そうして立ち去ろうとした、そのときだった。 横からおじさんがやって来て、値引きされた魚を端から物色し始めた。 ……! 私はサッと鯖をかごに入れた。