地球の肌
僕らは地球の声が聞きたかった。 ある人は地面に耳をつけた。ある人は岩に耳をつけた。またある人は、アスファルトの割れ目に耳をつけた。 皆、感じた。地球の「肌」は、思いのほかひんやりしていた。 もう死んでいるのかもしれなかった。 それでも耳を澄ませて聞こうとした。 もはや誰も自動車のような音の鳴るものには乗らなかった。地球に静寂が戻った。 やがて、波のような音が微かに聞こえた。 聞こえた……聞こえた? 聞こえた。 人々は静かに喜んだ。だが声には出さず、ひたすら地球に耳を当て続けた。 やがて人々は、地球の肌になった。 地面や岩肌、アスファルトの割れ目に片耳をつけたままの、人型の鉱物が遺された。 何千年も経って、鉱物の空に向いた耳の穴から水が湧き始めた。 水はそこら中から溢れ出し、地球は再び水の惑星になった。 誰もいない地球に、静かな波の音だけが響いている。