感情
実のところ私の頭の中は空っぽだ。
何事にもなんの感情も湧かないのだ。
会社の飲み会に行った。
上司たちは酒を煽りながらお互いを罵り合い怒鳴り合いに発展したが私は食べることに夢中だった。
帰り道、酔っぱらって道でヤカラと肩がぶつかり因縁をつけられボコボコに殴られたがその時は治療費のことを考えていた。
しばらく倒れているとスーツ姿の女性が心配して介抱してくれたが恋に落ちることはなかった。
病院で他に重篤な病気が見つかり余命幾ばくだと知っても他人事だった。
そして空っぽが本当の意味で空っぽになるとき初めて一つの感情が湧いた。
だがその感情がどういう感情なのか自分でも説明できなかった。
感情の名前を知らなかったのだ。