水の戯れ

冬の窓ガラス。
温度差で白く曇り、外の景色もぼやけている。
ロンドン行きのバスのヘッドライトが2人の水滴の兄弟を赤く照らす。
兄は弟の先をゆく。
弟は兄の走ったあとを追いかける。
そうやって2人は少しずつ成長していく。
兄が立ち止まって考え事をしていると弟が追いついて──
2人はぶつかり1つとなって窓を流れ落ちた。
窓枠が冬の風にカタカタと震える。
生まれては消える小さな命たち。
テーブルの上のグラス。
水面がわずかに揺れ、水滴が跳ねる。
ピチョン、と音をたてて小さな冠ができた。
水滴はグラスの口の高さを目指して跳ね上がる。
──あの兄弟だ。
遊ぶように、くすぐるように。
水面のきらめきが、笑い声のように弾けた。

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