ある祝日の朝
ねっとりとした臭気を含んだ汗が揮発したように、その街の朝もやは黄色く濁っていた。
朝だというのに人で溢れ返った市場は、不思議なほど静かだった。
どうやら今日は宗教記念日で、自動車の使用が禁止されているらしい。
雑踏にもみくちゃにされながら、私は少しずつ体をずらし、目的地へと流れ着くのを願っていた。
服にノミやシラミでも移されたのか、痒くて堪らない。だが腕を自由に曲げる空間すらない。
このまま圧縮され、異国の地で死んでしまうのではないか──そんな不安が頭をよぎる。
結局、私は服を少し剥ぎ取られて、目的の店「青蛙楼」の前に吐き出された。
背後の通りには相変わらず雑踏がひしめいているが、この裏路地には人影がまばらだった。
それが、知る人ぞ知る名店という雰囲気を醸し出している。
しかし、嫌な予感がした。
あまりにも人の気配のないドアに手をかけると、ガチャリと音を立ててロックされている。どうやら今日は閉店のようだ。
唖然としていると、ドアにボロ切れのようなメモが貼られていることに気づいた。
この国の文字で書かれているが、当然読めない。
私はスマホを取り出し、Googleレンズをかざした。
「本日は聖蛙老師生誕記念日のため、カエル料理の提供はできません。臨時休業といたします。」