この世には「顔が利く」という言葉があるが、アンリの場合は少し意味が違った。彼の顔は、その表情だけで百のことを語ったのだ。
彼が少しでも不機嫌な顔をすれば村人は頭を下げ、満足げに頷けば皆ほっとして小躍りした。
アンリは自分の顔に自信を持っていた。
「俺は人の心を動かす、イカした顔なんだ」
アンリが病に倒れ、最期のときが来た。
彼はこう言い残した。
「俺の死に顔を確かめてくれ。
その表情のまま埋葬してほしい」
アンリの死に顔は、驚くほど安らかだった。
村人たちはその顔にふさわしい、静かな埋葬場所を探し始めた。
だが、その評判を聞きつけた人物がいた。
その人物はアンリの安らかな死に顔をためらいなく剥ぎ取り、
自らの聖書の革張りにした。
村人たちは抗議できなかった。
相手は王だった。太陽王と呼ばれる男である。
革張りのアンリの顔は、四隅に引っ張られ、
この世に怒りを向けているように見えた。
その威圧を、王は巧みに利用した。
こうして王の絶対権力は、さらに強固なものになったという。

アンリの残りの遺体は、村人たちによって静かな森に埋葬された。顔を見ずとも、彼は村人たちに愛されていたのである。

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